7/25〜27で鳥海山に登ってきたのです
山へ行くのは2年ぶりになってしまいましたが
いやー、やっぱりいいですね、山!
オイラのシーズンは梅雨入り直前〜晩夏までなんですけど
つい写真が異様に多くなってしまいましたが、猛暑続きの昨今に対しなかなか清涼感あるいいものだと思いますので、しばしおつきあいくださいませ。写真はクリックするとある程度大きくなります
*記録的長さになっちまいましたので、心してください*
24日の夜上野発の寝台特急「あけぼの」に乗って
山形と秋田の県境に鎮座まします『鳥海山』にいってまいりました
ここは日本海から裾野の広がる、出羽富士とも呼ばれる標高2,236mのお山です
プランはこのとおり。
標高500m付近にある家族村近くの登山道から、広大なブナ林を抜けて、じっくりと登ってゆきます
なるべく下から登ると、徐々に変化する植生が楽しめるのでオススメです
あ、申し遅れましたが、パーティーは3名、
先月の川原湯温泉とおなじメンバーです
全員のスケジュールを半ば強引に合わせ、この顔ぶれでの登山は実に5年ぶり
このパーティーは以前岩手の早池峰山・岩手山に登っています
つーか、寝台特急初体験だったんだけど、ぜんぜん寝れないね!
走っている最中はいいんだけど、停止〜発進(加速)時の揺れときたら!
なんだか震度3クラスの直下型地震みたい。これは動力車の位置による動力伝達の具合によるところだと思うんだけど、こんなとこで現在の電車・新幹線のハイテクさに感心してしまいました。
だがたのしかったです。小学生並みに車内探検した。
さて、酒田駅からタクシーに乗って湯ノ台という目的地に向かう途中から雨が降り始め
登山道近くに来た時は本降りです…
いきなりの洗礼にメンバー若干意気消沈、雨装備やストレッチなんかの準備にもどうにももたつき気味
また登山道近くの施設の方が入山証の扱いをどうしていいのかわからないようで、予定よりも2時間近く遅れての出発となりました。あ、なんでこんなに遅れたのかと思ったら、そもそも寝台特急が信号機故障だかで35分遅延したのだった。
雨のブナ林を進んで行く事になります
葉で受け止められた雨は、ブナの木肌を滝のように流れます
雨音と、足元を小川のように流れる水音 たまに遠雷
地面は小さくも多様で瑞々しい世界です
霧に包まれて進むときはノルシュテイン氏のハリネズミになった気持ち
幻想的で静かな世界に見えますが、実はブユというものすごく厄介な吸血コバエみたいのが異様に大量にいて、コレが油断するとバンバン噛み付いてきます
んで、ヘタすると後でものすごく腫れて大変な事に!
…皮膚科行きます。
ぽっかり開けた場所は、トンボ天国でした!
写真にはなかなか写らないけど、ここだけでもう50匹とか飛んでいたんじゃなかろうか
この後、トンボは指に止まるのですが決定的瞬間は捉えられず…
ブユの天敵はこのトンボらしく、ここはトンボの狩り場なようです
トンボはあまり森の中に入って行かないから、森の中はブユ天国なんだろうなぁ、ガンバレ、トンボ!
どうも経験からすると、ブユは黒に寄ってくるみたい
衣類が黒の方は気をつけて!専用の虫除けでないと、あまり効果ないらしいです
ブナと霧に包まれた世界をひたすら歩きます
中央はブナ林に1本だけそびえるその名も「一本杉」
根元からV字型に分かれてそそり立っています
すると突然のようにやってくる森林限界!
視界は一気に広がる…はずがやっぱり濃霧。
雨はだいぶおさまって、多少は楽に
やっぱり雨はキツいです、汗もかくし、全身内から外からびしょぬれです
この後は、ガスのみになって、多少陽の暖かさを感じるようになります
しばらくすると岩の上に蛇がわだかまっておりました、たぶんシマヘビ。
雨が止んで、ひなたぼっこしていたのでしょう
近づくとすごい速さで岩の下に逃げて行きました、写真の中央左に、ほんの少し見えると思います。
この付近は他にも蛇を見ました。あとアカハライモリやカエルも。
道が小川のようになっているので、両生類には過ごしやすいようです。コバエがいっぱいいるし。
カエルはやたらすばしっこかった
森林限界を超え、腰の高さの低木地帯も越えると、次には草原・花畑が広がります!
この感じが大好きだー
岩手山・秋田駒では時期でなかったからか見なかったオニユリの仲間?
花弁は小振りなので、種類違うかも。たぶんクルマユリというのではないかと…
コバイケイソウの葉
縦方向に立体的なスジがあって、表面がツルツルツヤツヤで、とても美しい
コバイケイソウの花
時期がちょっと早いのか、小振りでまだ満開ではない様子。この一房の高さが10cmくらい。
これの群生がそよいでる様を沢の対岸に見つけたりすると、まさにムーミンに出てくる「ニョロニョロ」みたいで、オイラたちは「ニョロニョロフラワー」と勝手に呼んでいます
予定からだいぶ遅れて、通過地点の予定だった河原宿小屋にようやく着きました
時間はもう15時すぎ、これから本来の予定の場所には健脚で4時間
途中「危険」マーク付きの部分もあり、協議の結果本日の進行はここでストップに。
これは英断だったと、のちのちわかる事に。
けっこう大量に背負ってきたビールを、雪解け水の流れる冷え冷えの川に沈めます
ここで気温はだいたい15℃くらい、水は5℃くらいじゃないかしらん
いままで真っ白だった天幕に一瞬のガスの切れ間が!
すると山の稜線が陽光で燃えているようだった
夕方でもないのにこの光線…これはものすごく幻想的な瞬間だった…
思えば、登り始めて初めて山の姿を見た時だった
小屋で夕飯をいただきます
食事は1食1000円くらいで食べさせてもらえます。シーズン中は予約するのが良いでしょう
しかし、山中なのに、なんて豪華なビール群
この日は20時には眠り、翌日は4時頃から出発します
しばらく、なだらかな草原を歩きます
ニッコウキスゲがまだつぼみのものが多いです
さてここが第一の難所、大岩下りです。地図上に「危険」マークで示されてるところです
上から撮っているので伝わりにくいですが、けっこうな傾斜で長距離に渡り下っています
雨が降ったせいか、岩の間には結構な勢いで水が流れているのがわかります
それ以前に、岩が濡れてて滑る!怖い!
昨日、無理して進まないで良かったー、と全員でほっとして決断をたたえあいました。
ガスが多く、日も暮れた状況では、かなり危険だっただろうなー、よかったよかった。
こんなところもあります
だいたい、ビルにして12階分は降りたでしょうか
こういうところは大好きなんだけど、さすがにこのコンディションでは緊張しましたよ
途中途中に山桜が張り出していて、これは春に来てもすごいぞ、と思わせました。
途中の水場の脇に小さいながらもモウセンゴケの群生を発見!
粘着部分の直径が1cmに満たないくらい。
これはそうでもないけど、近くの群生にはみっしりコバエやブユがつかまっとりました
この山はほんとうに水が豊富だなぁと感心する
イワイチョウ
花の直径は2~3cmくらい、虫が食事に来ております
葉のぎざぎざに合わせて梅雨が残ってるのがイイ
後方にある白いのは残雪です
しばらくまたなだらかな草原が続きます
途中途中にぽっかりと池が点在していて、カエルが鳴いています
水面に山々が映り、実にいいかんじ
たまに上空の雲が切れ、日差しが差し込む事も。そうすると一気に気温があがる!すごい熱量!
ここからまた一気に登ります。外輪山部分です
鳥海山のカルデラ湖・鳥海湖にたどり着くと、一気にガスが晴れてきた!
手前はニッコウキスゲ
北側斜面に沿って、雪がけっこう残っている
ミヤマリンドウ
花の直径は3cm弱
「ミヤマ」は「深山」なんですねぇ
交互に違ったカタチの花びらが並ぶのがおしゃれですね
鳥海山にはこの淡い青色をした花が多い気がしました
テーブル状に溶けた雪渓の下には、新芽が続々と生えてきていた
この草がろうと状で、若々しく水気に満ちた緑がとてもかわいらしい
彫刻作品のように解けてゆく雪渓
ヨツバシオガマ 林道 雪渓 青空!
鳥海湖
大きさはちょっとした球場くらいだろうか
撮影者の背後に大きめな雪渓があり、そこから沸き出すように雪解け水が湖に向かって流れている。この下部はすべて沢の様に水が流れているのです。
顔洗ったらものすごく気持ちよかった!
鳥海山山頂と鳥海湖を臨む
左上奥が新山の山頂。雲の合間からチラ見え
残雪から立ち上る冷気と、雲とが混ざり合う
たまには記念写真然としたものも
草原の緑・雪渓と雲の白・空の青がどうしようもないくらいに清々しい!
岩とキスゲと雲と山と湖
吹き上げる風とともに、葉がめくれ、おおげさでなく実際草原がキラキラと輝くように見える。そして雲の影がゆっくりと移動する
御浜小屋付近は地元の小学生集団でいっぱいでした。(先の地図の1700m地点の小屋)
我々と反対側の、1500メートルくらいのところから始まるルートは、登山道がかなり整備されているので、日帰りや年配の方に人気のコースなようです。我々の通ったコースは見渡す限りだれもいなかった。
しかしここから山頂へはけっこう起伏もあるし危険な岩場も通るので、引率の先生はたいへんだ
花いっぱいの外輪山の尾根を行く。
チョウカイアザミ
鳥海山の固有種。かなり毒々しい色合いをしている
ミツバチがもぐりこんでいます。
タカネツリガネニンジン
クルマユリ?とウサギギク?(未確定)
時期が良かったのか、花盛りでかなり嬉しい〜!
山頂へと続く起伏の大きな道
岩場の陰に雨宿りするように咲いていたこの花、とても可憐なのだけれど名前がわかりません!
わかり次第更新します。
花の固まりは1つ当たり5cmくらい
岩間に咲くミヤマキンポウゲ
アオノツガザクラ
オイラの大好きな花!小さな植物なんだけど、下の方は木の枝のようになってる
時期が早いのか、まだほとんどがつぼみだった
岩になりきってるカミキリムシ
ここから鎖場を通り急激に下る!
右下に先に行く人々の頭が見える
あの山の向こうが鳥海湖
大雪渓!
耳を澄ますと、下に雪解け水が流れているのがわかる
植生が豊かながらも、急な登りをひたすら進む
山の合間に日本海が!
雲が完全に払われなかったのは残念ですが、この天候で日本海が見れたのは最高にラッキーだった!
チョウカイアザミのつぼみ…
タールをぬっったくったような質感!デッドリースポーンみたいな容姿!
すごいなー、これ。しかもけっこうでかいんですよ
あの、お湯に入れると開く中国茶の丸めたみたいな感じ
頂上小屋に近づくにつれ、ガスが広がりだし、日本海ともサヨナラです
濃いガスの中、本日最後の力を振り絞り頂上小屋を目指す
この日は3名とも疲労が激しく、山頂小屋に着くや割とグッタリ。食事が終わって19時すぎにはほとんど寝ているような状況でした。
山頂小屋は大盛況で、もう老いも若きも(「若き」で33歳くらいのとこですが)畳1畳にみたないくらいのスペースに雑魚寝っていう、ほんとに「避難小屋」、こちとら避難してきた人のためにやっとんのんじゃ、ホテルちゃうんじゃー!っといった環境ですが、もうヘロヘロなんで毛布1人2枚ですが健やかに眠れます。ヒト大勢で、暖房無しでもぜんぜん暖かいし(20℃はあった)
すぐそばの、関西から着たと思われる60代半ばと見える男性3名のパーティーが、「山に登るという事は」「人と人との関わりとは」みたいな内容で激論かわしていたのが興味深かったです。いやでも聞こえてくる内容がすごく若々しかったのが良かったです。
しかしここから世界は急変!
外では大音響で風が吹き荒れ、3名とも「いびき遮断」のための耳栓をしていたのですが、いびきはそれで防げても、小屋自体を大きく揺すぶる嵐のおとは消す事ができない!
そしてブユにかまれたヶ所が腫れてものすごく痒い!
もう眠りが浅くて、ふわふわした感覚のまま3時を迎えると、早い人は出発してゆきます。関西のおじさん3人組も早々と出発して行きました。
我々は何度か外へでて、「立っているのがやっとな強風」「視界3メートル」「ガスというか朝露を含んだような霧で数秒でびしょびしょ、しかも下から」「頂上まではガレ場」ということ確認し、それらを考慮して、朝日によって出来た鳥海山の影が日本海に落ちるという「影鳥海」はおろかご来光自体ムリ!という結論になり、少しでも疲れを癒すために朝食まで寝て、そのままストレートにゆっくりじっくり下山する・ということに決定。
これも英断だったと思います。
朝の山頂小屋
鳥居がありますように、ここは「大物忌神社」という神社なのです。宿泊者はあくまで修行とか参拝者の扱い。
この写真では天候が悪いだけで静かなように見えますが、いきなり突風が吹き上げてくるのです
動画を撮ったつもりが、操作を誤ったらしく記録されてませんでした…寝起きでナチュラルに吹き飛ばされるサマが写ってたはずなのに…
風の比較的弱かった登りでもキツかったのに、帰りは下りな上暴風です
ほんとうに感心するのは、あの細く、ひょろりとした花々が、人間がまともに立ってられないような暴風の中、しなやかに踊るように揺られているところです。すごい…
なんか「こうありたい」と思う姿です。美しく、細く、可憐なのに、芯が強い!
高山植物、最高!
もうだいぶ降りてきました。
大事をとって、一番楽なコースで降りているのです、登山道はほとんど石畳のようになっていて、はるばる登りにきてこれだとちょっと肩すかしな感じですが、こんな悪天候のときには心強い事他なりません。
なんとか無事に下山できました、この時点で午前11時。
秋田側の、標高1200mほどのところにある鉾立山荘からバスに乗ってしまいます
もう山の悪天候は揺るぎない感じなので、ここはスパッと気持ちを切り替えて日本海で温泉&海水浴です!
下界は快晴で真夏日!って情報が入ってましたから!
で、この状況。
画像間違えたんじゃありません
猛暑日でした。海パン・メガネ持参の用意周到さで飛び込んだら、セーバーさんに止められました
遊泳禁止だったのです。
たしかに誰も泳いでなかったし(お客さん自体数人だったけど)、波も高かったしなぁ
セーバーさん、ごめんなさい。
気持ちよかったです。
気持ちをさらに切り替えて。
この後サムワンにとんでもない事が起こるとは、誰が想像し得たでしょう…
背景が鳥海山。下界は晴天の真夏日でしたが、山だけすっぽりと重たそうな雲に覆われていました。
そういえば一度も山の全貌を見ていない。幻の山に登ってきたような感じになりました
今回の記事で花の名称は主にこちらのサイト
「鳥海山フォトギャラリー」を参照させていただきました、ありがとうございます
鳥海山限定の高山植物事典買っておくんだったかなぁ
それでは長々とおつきあい、ありがとうございました。